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神奈川芸術劇場(KAAT)

神奈川芸術劇場(KAAT)
神奈川芸術劇場(KAAT)

神奈川芸術劇場(以下、KAAT・カート)は、質の高いミュージカル・演劇・ダンス等の舞台芸術作品を提供する目的で、2011年1月、横浜市中区山下町に開館した。
スノーケルの高所作業台UL-Eシリーズがどのように使われているのか、劇場を訪問しお話しをうかがった。

神奈川芸術劇場(KAAT・カート) UL-Eシリーズ 仕様
事業内容 舞台芸術作品を企画・制作・上演する自主事業、優れた舞台芸術作品の公演を行う劇団等への貸し館事業、県民ホール本館との一体運営により神奈川県の文化芸術の広域拠点の役割を担う 特長 アウトリガーインターロック
作業床上電源
緊急降下装置他
所在地 神奈川県横浜市中区山下町281 種類 UL15E 最大作業高 6.67m
UL20E 最大作業高 8.07m
UL25E 最大作業高 9.44m
UL30E 最大作業高 10.9m
UL35E 最大作業高 12.06m
UL40E 最大作業高 13.92m
開館日 2011年1月11日 こけら落し公演は三島由紀夫 原作、宮本亜門演出「金閣寺」
施設概要 地上10階地下1階、建物面積約4800㎡ ホール(最大1300席)、小劇場、稽古場となる大・中・小のスタジオを有す
管理運営 公益財団法人神奈川芸術文化財団
URL http://www.kaat.jp/

高度な舞台芸術作品を上演する劇場としてオープン

本日は舞台創りの中でスノーケルのUL-Eがどう使われているのかお聞きしたいと思います。まず、広報の前島様にKAAT(神奈川芸術劇場)のご紹介をお願いいたします。

KAATは、2011年1月11日、「3つのつくる」をテーマに、演劇・ミュージカル・ダンスを公演するホールとして開館いたしました。
「3つのつくる」ですが、1つめの「つくる」は『モノをつくる』。舞台芸術作品を創造し、発信していきます。
2つめは『人をつくる』。舞台技術者やアートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。
3つめは『まちをつくる』。公演事業の開催を通して周辺に賑わいや新たな魅力を生み出し、地域の価値を高めていきます。

KAAT 正面入口

KAAT 正面入口

広報の前島様

ブログ形式のNEWSや
You-tubeで動画発信
も行っています
広報:前島智子様

広報のお仕事について教えてください。

広報の仕事には、まずは取材対応があります。「上演作品について」「劇場について」はもちろん、「建物について」の取材を受けることもあります。
年間を通してホームページの管理等の業務を行うほか、公演する作品のマスコミへの売り込みも行いますし、ちらし・パンフレットなど宣伝素材の制作も担当します。
開館前にはマスコミ、協賛企業、近隣の企業、WEBチケット会員の方々をお招きしての内覧会を実施しました。最近でも公演プレトークを企画するなど販促イベントの企画・運営も行います。

インパクトのあるロゴですが、どのように制作されたのでしょうか。

従来の公共劇場の持つイメージを破っていきたいというコンセプトでデザイナーの佐藤卓さんに依頼しました。 色は宮本亜門さんも加わって考えていただきました。

KAATの特徴その1:作品を一から創りあげられる劇場であること

KAATの特徴を教えてください。

KAATの一番の特徴は、舞台作品を一(イチ)から創りあげることができることです。 そのための舞台スタッフ(機構、照明、音響)、制作スタッフ、広報営業スタッフを内部に揃えています。
こけらおとし公演の演目「金閣寺」という作品は、ここからスタートして全国で公演し、この夏にはワシントン公演も行います。 「太平洋序曲」も、KAATの中で稽古をし、作りあげました。

KAATのwebサイト

KAATのwebサイト

内部で一から制作ができるのはなにがあるからでしょうか。

人材と施設です。内部に稽古場が確保できますし、現場スタッフも作品創りに対応できるメンバーが集っています。
パッケージになった作品を買い取る劇場も多い中、KAATはここで作品を生み出しています。

KAATの特徴その2:演目に合わせて勾配が変えられる客席

他にも特徴があれば教えてください

客席に「床昇降システム」を備えていることです。段差のない平土間にもできますし、約20度の急勾配にすることもできます。これによりさまざまな演出に対応できます。
例えば、バレエなど足先の動きも重要な演目では、後方のお客様からも舞台上が見えるように急な傾斜へ客席全体の角度を調整することが可能です。

段差が変えられる劇場というのは一般的なんでしょうか。

そうはないと思います。世界でも珍しいのではないでしょうか。前席の部分だけが動くなどはあるのですが、1列ごとに動かして細かく調整できるという客席はあまり聞きません。

中:緩勾配の客席 右:急勾配の客席(赤色部分の1階席)

中:緩勾配の客席 右:急勾配の客席(赤色部分の1階席)

舞台照明の振りの調整や大道具の建て込みなどにUL-Eシリーズを活用

それでは、購入した高所作業台について使用している部署の小野様にお聞きしたいと思います。まず「現場」と言われる部署と小野様のご担当について教えてください。

KAATには、機構、照明、音響の3グループと、プロダクションオフィスといってスケジュールの調整や作品創りの調整などを行う部署があります。
機構というのは、舞台に設置されている演出効果用の機器類を担当する部署で、私は機構の担当をしております。

KAATには高所作業台は何台ありますか。

ビル全体では5台あります。すべてUL-Eシリーズで、大ホールと中小ホール、稽古場など劇場用に4台、施設全体のメンテナンス用が1台です。 劇場用は、UL30E(作業高約11m)が1台、UL35E(同約12m)が2台、UL40E(同約14m)が1台です。 施設メンテナンス用は、UL30Eです。

UL-Eシリーズを活用

バトンに取り付けた照明の調整をする
舞台技術課照明担当 尾崎真弘さん

劇場用はどのように使っているのでしょうか

一番多いのは、照明の調整での使用です。 照明はバトンという天井から吊したものに取り付けているのですが、高いところにありますので、高所作業台を使用して照射角度の調整や明るさの調整などを行います。

KAATはオープンしたばかりで最新の機材が導入されていると思いますが、お話しのようなアナログの作業も必要なのでしょうか。

もちろん自動制御できる照明もあり、コンピューターで振り(角度)を決めて調整できます。しかし、自動制御だけでは使用できる照明の種類が制約されます。
劇場では非常に多くの照明が使用されています。そして照明にはさまざまなタイプがあり、演目によって使用する照明も違ってきます。
「この場面ではどーんと大きくライトをあてたい」という演出ではライトそのものも大きくなりますし、振りも微妙な調整が必要になります。そういう場合に高所作業台に乗って手で照射方向を決めたり、調光設定を行います。

UL-Eシリーズを活用

演目により使う照明が異なる為、
多種多様の照明が備えられている

照明以外で使用されることはありますか

大道具の建て込み時に高所でパネルをつなぐときや、上から何かを吊るすなどの高所作業に使用したり、音響担当者がスピーカーの向きの微調整に使うこともあります。技術課のメンバーはほとんどがなんらかの用途で使用しています。

スノーケルのUL-Eを選んだ理由

小野様はスノーケルの高所作業台をご存知でしたか?

もちろん知っていました。最近の劇場ではスノーケルが主流になっています。ここ10年くらいの間にオープンしたほとんどの劇場で採用されているのではないでしょうか。KAATの技術スタッフは、以前はそれぞれ別々のところで働いていたわけですが、どこかで使用した経験があります。

ここ10年で開館した劇場で採用されているのは、どういう点を評価してのことでしょうか。

「安全性」です。 舞台というのは仮設の作業がほとんどですので、通常の建設にはない作業を行います。しかも時間が制約された中での制作ですから、かなりシビアな安全管理が要求されます。
一例を挙げると、外部から作品と共にKAATに来る現場スタッフもいます。KAATの機材に慣れていないスタッフが使用する場合であっても、UL-Eはアウトリガーを設定しないと起動しない造りになっているので、我々が常に付いていなくても安全性はある程度確保できると思います。

安全管理についてもう少しお聞かせ下さい

舞台技術の現場もここ20~10年くらいの間に事情が変わってきました。20年前は大道具の機材もそんなに大きいモノや重いモノはなかったのですが、だんだんと巨大化し、材質もそれまでの木製から鉄製に代わり重くなっています。作業時の安全管理には相応の対応が求められるようになってきています。
スタッフひとりひとりの安全意識の向上も求められ、作業時には必要に応じてヘルメットをかぶり安全靴を履くなど、ほとんど工事現場と同じです。

アウトリガーを固定して起動するUL-E

アウトリガーを固定して起動する

「安全性」の他に、UL-Eシリーズで評価している点はありますか。

「大きさ」です。 舞台上は広いといいましても、大道具が仕込まれ、照明が仕込まれてくると制約された空間になります。狭い中を取り抜け、その先で高所作業ができるモノとなると限定されます。スノーケルの高所作業台は移動に必要なスペースが少なくて済みます。

今後の期待

スノーケルの高所作業台UL-Eシリーズへのご要望はおありでしょうか。

アウトリガーがあることでの安全性はよく理解していますが、ただじゃまなときもあるので、他にいい方法がないかと思うことがあります。例えば曲げられるとか、脚を2段に伸ばせて前だけ高くして後ろは低くできるなど改良されるともっと使いやすくなると思います。
あとは重さです。ある程度の高さの台組をするときに、そこに運び上げるには大きすぎます。 ここのバトンは1トンちょっとまで持ち上げられるので高いところへ運び上げて活用できますが、逆にここくらいの施設でないと使いづらい面があります。
1階のアトリウムで公演を行うこともありますが、床が煉瓦なので重さで傷が付きますからベニヤ等で養生をしないとならないところも少し難に感じています。

お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

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